好きから広がるnew world

好きから広がるnew world

キャラクターの事を考えたり、観劇の感想をまとめたり。

スポンジボブミュージカルを好きになったものの一人で騒ぐのは寂しいのでブログを始めることにしました。

スポンジボブミュージカルはいいぞ

リロ&スティッチのTVシリーズは再評価されるべき

これはタイトル通り、映画「リロアンドスティッチ」…の続編にあたるテレビアニメ「リロアンドスティッチ ザ・シリーズ 」がシリーズ完結から13年経った今でも、いかに色褪せない素晴らしい内容かを力説する記事です。

(再評価されるべきなんてどの立場の人間が言ってるんじゃという感じですが、少しでも多くの人に興味を持ってもらいたいゆえお許しください。)

ミュージカルの話ばかりしてきたブログで突然どうした?!という感じもありますが、もともとはリロ&スティッチが人生のホームジャンルです。

 

先日「リロ&スティッチは再評価されるべき」という旨の記事(個人ブログ)を拝見しました。その記事は映画一作目に視点を合わせた内容だったのですが、リロステのデメリットとして続編が多すぎるという記載がありました。いやまあ確かに多いんですけど、続編を最後まで観る事でリロ&スティッチは完成されると私は考えています。TVシリーズがあることで映画のキャラ達の人生をより深く知る事ができますし、映画に込められたメッセージはさらに説得力を持ちます。

この手の続編ものはクオリティを疑われがちですが、TVシリーズは映画人気にあやかったただけの延命作品では決してありません。

という事で、今回はテレビシリーズのキーワードといえる「おウチ(居場所)」と「オハナ(家族)」の描き方に注目しつつ再評価への推しポイントをまとめました。

 

そもそも続編とは?

リロ&スティッチは2002年公開の映画です。そして続編は以下の通り。

リロ&スティッチ2:2005年(TVシリーズより話・作画共に映画寄り)

スティッチ!ザ・ムービー:2003年(TVシリーズへの導入にあたる長編)

リロ&スティッチ ザ・シリーズ:2003年~2006年(TVシリーズ・全65話)

・リロイ&スティッチ(TVシリーズもといリロステシリーズの最終回にあたります)

 

なお、日本で制作された「スティッチ!」は沖縄が舞台のフランチャイズ作品なので続編としては含めません。(そもそも完結した物語に対してあまりにも矛盾が多く、ファンからの評価は低いです。私も一応全話見ていますが、おすすめはしません。ただ、好きな人もいる…かもしれませんので、それはそれとして勿論否定しません。)

中国版「スティッチ&アイ」も同様に考えますので今回は続編にカウントしません。

 

ここが凄いぞテレビシリーズ

能力を生かして、自分が輝けるおウチ(居場所)を与える

この流れがテレビシリーズのシナリオの軸となっています。スティッチは悪の天才科学者ジャンバによって作られた626番目の実験体なので、他に625体の実験体がいます。本編では「試作品」と呼ばれておりますが、親しみを込めてリロ達は「イトコ」と呼んでいます。

で、イトコ達は悪の科学者が作った生き物なので、基本は他人を困らせる能力を備えているんですよ。でも、リロ達はイトコが能力を生かせるところを見つけてあげて、居場所(=おウチ)を作るんです。…素晴らしくないですか?悪の能力も適材適所で善の能力に変わるんですよ。

リロにいじわるをするマートルというキャラがいますが、彼女の元がそのイトコの居場所としてふさわしいなら、彼女にイトコを託すこともある。(たまにどうしてもおウチが見つからない子もいるけど…でも、このことについては本編でも言及される回があります。)

かつて孤独を抱え、居場所を失いかけた5歳児のリロが、今度は与える側としてこのような活動をしているというのが良い。TVシリーズを通して、リロは精神的な成長を遂げていきます。(周りのキャラクターも)

 

様々なオハナ(家族)の在り方を描く

(※一番の推しポイントなので長いよ)

スティッチに詳しくない人でも「オハナ」という単語はなんとなく知っている…という人もいるのでは。この「オハナ」という言葉は直訳すると「家族」ですが、血縁関係に由来する「家族」よりも広義的な意味を持っており、信頼できる友人や仲間もオハナに含まれます。そして、スティッチは「家族」をテーマにした作品ですが、その家族像はいわゆる「両親がいて、子供がいる」という形だけではありません。

TVシリーズで、リロの家族はへんてこだと言われます。エイリアンが2人に遺伝子実験体が1匹、そして唯一血のつながった姉。一見するといびつかもしれませんが、皆リロにとって「家族」であり、彼女はその家族と共に幸せに生きているのです。

 

それから、この作品には複数の”コンビ”が存在しており、それぞれがTVシリーズ内で関係性を深めながら最終回へ向かっていきます。

各コンビが「互いをパートナーと感じ、家族になっていく」…その描き方が私は大大大好きなんです。どうしても現実世界だと「パートナーになる」というと恋愛を軸にした考え方が強いかと思います。でも、そうじゃない愛の深め方や関係性もあるんだよ、って言ってくれてる気がするんですよ。

 

・ジャンバとプリークリー

ジャンバとプリークリーは(おそらく)同性愛者のメタファーだという事に数年前、ジェンダー論に関心を持ち始めてから気が付きました。プリークリーは女装が趣味ですが、性自認は男性。そんな彼が性別にとらわれず自分が楽しいと思える服を着る様子をシリーズを通して堂々と描いてくれているのが本当に心強い。そしてカウアイ島の人達は彼を受け入れている。このような描写は現代の価値観と非常に合っていると感じます。

でも、プリークリーがハワイでの自分のあり方を隠そうとする回があるんですよ!

「フィバー」という嘘発見器の能力を持つ試作品のお話なんですけど、プリークリーが偽の挙式を挙げることで、結婚はしないのかとうるさい親族を満足させようと考えます。ちなみに、婚約者役は女装をしている(女役を強いられている)ジャンバです。この回のアツいところは、最終的にプリークリーは結婚を望んでいないと親族に伝え、今が幸せだと断言する点。プリークリーには故郷を離れてまで、そこにいたいと思えるような家族が見つかったんだ…。そして家族の中のパートナーはスティッチ捕獲のために無理やり組まされた男性のジャンバ…。このふたりはリロイ&スティッチで一度別の道を行くわけですが、そのときも結局プリークリーは会いたくなってしまい……(続きは本編で!)

このふたりが互いへ恋愛感情を抱いているのかは明言されていませんが、このふたりはそういった次元を超越しているな~と思っています。互いを必要と感じ、愛する姿は、パートナーのあり方として最高のお手本だ…。

 

・ガントゥとルーベン

私が特に好きなのはガントゥとルーベンコンビの愛の道なんですよね。ガントゥは銀河連邦の元大尉で、クビになってからは「ワルイコチーム」というスティッチ達の敵にあたる立場になります。かなり真面目気質でプライドはある感じ。ルーベンはスティッチの一つ前に生まれた試作品625号で、サンドウィッチが大好き。そしてよく喋ります。しかも煽るのがうまく、頭の回転もいい。

一見するとおっさんのようななふたりですが、本人たちの意志というより訳あって同居しはじめたという感じで、一緒に暮らしながらも衝突が多い。ガントゥはルーベンにしょっちゅう怒るし、たまに銃をぶっぱなしたりもしてます笑 そんな関係なので、子供の頃に視聴していた時はあんま仲良くないのかな…と思っていました。いや、昔の自分は浅はかですね~。ふたりが喧嘩しながらも、たまに相手を思いやったり、紆余曲折がありながら少しずつ関係性が進んでいくところにこのふたりの「家族」のありかたが詰まってる。ルーベンはサンドウィッチ狂で一見すると自己中心度高めなんですけど、時には寝ているガントゥに布団をかけたり、風邪に良いサンドウィッチを作ったり、ガントゥの同級生をサプライズで集めたりするんですね~。そこにあるのは愛…。リロイ&スティッチでルーベンが「俺のおウチはおしりプヨプヨのガントゥのところってわけ」と冗談ぽく言うシーンがあり、最終回ではルーベンなりに自覚はあるようでした。まあ、ガントゥがルーベンを裏切り地球に置いていくんですけど。結果的には、その後の再会で、ガントゥがボスのハムスターヴィール博士の背いてルーベンを助けます。そして最後にルーベンは「ガントゥの専属シェフ」がおウチとなり、ふたりはハッピーエンドを迎えます。このふたりの関係は一言では表し難いですが、最後にお互いの意志で「共に生きる」道を選んだのは、とても意味のあることだと思うのです。奇妙な出会い方をしたふたりが、恋愛でもなく、友情といえるのかも分からないけれど、一緒に生きたいと思った、って最高じゃないですか。

 

リロとスティッチのコンビはペットのフリと飼い主という関係から始まりましたが、今では対等な家族でもあり親友でもあり…そして離れることがあっても、相手の意志を尊重する。あと個人的に、映画では相当な暴れ馬だったスティッチがテレビシリーズだとリロを見守る側になる事が多いのも好きです。あと、メインのヘテロカップルのキャラはナニとデイヴィットくらいなんですよね。そしてこの二人もいいんですよね…。

 

まとめ

この作品は型にはまらない家族の形が描かれています。家族形成において異性同士での恋愛結婚がマジョリティとなっている現代ですが、その風潮に対し生きづらさを感じる人々にとって救いになる作品だと私は思っています。少なくとも私はそうです。

私はリロ&スティッチを好きな自分や、同じように作品を愛する人々を誇らしく思ってます。

 

難しいことを考える必要なんてないくらい、純粋に楽しくて面白いのですが、色々な角度から作品を捉えることも出来るのがリロステシリーズの良さだと思ってます。

 

現在ディズニーデラックスで全話配信中の他、レンタルDVDも全話ありますので、改めて見返そうと少しでも思ってもらえたら嬉しいです。そして、アップデートされつつある現代の価値観と照らし合わせながら、TVシリーズを再評価する人がひとりでも増えることを願っています。

では!